コンクリート造か木造か
沖縄の家はほとんでコンクリート造(RC造)です。
タクシーの運転手さんに「なんで沖縄にはコンクリートの家が多いんでしょう?」と聞くと、「そりゃ台風に強いからさ~。ウチも借金コンクリートさ~」などという会話は日常。確かにRC造は台風に強いのは間違いありません。しかし、沖縄の伝統的な建築様式は、木造の軒が深い赤瓦の平屋建てです。それではなぜ、赤瓦の木造が、RCに代わったのでしょうか。
その理由は台風だけではありません。
沖縄は戦争でほとんどの家が消失してしまいました。復興にあたり、米軍住宅に用いられたブロック造の住宅にほとんど台風の被害がなかったことや、基地建設による技術の蓄積で、CB造、RC造へと移行してきた歴史があります。
電力のオフグリッドを計画するにあたり、コンクリートは、その蓄熱性の高さから熱い沖縄には不向きと考えました。最も大きな電力を使用するのがエアコンだからです。一方、木材は蓄熱性が低く、構造物としての通気も良く、湿度の高い沖縄でカビを抑制する効果も期待できます。
海辺の土地なので、台風の来襲から身を守るため、特に構造は要です。
木材の引張力に強い物理的特性に結合部にピン接合を用いることにより高い剛性を持たせることとしました。
木材は私たちの専門分野ですが、時と共に味わいを増す(経年変化)のも大きな魅力のひとつです。
私たちに〝100年住宅“という概念はありません。「次世代に不要なモノを押し付けるのではなく、不要になれば自然に還る素材でつくる。」
これがsaiブランドのモノづくりに対する考え方です。