土地選びと風土
近年の異常気象の影響とヒートアイランド現象によって、日本各地で歴史的な猛暑を記録しています。「真夏は沖縄に避暑へ」というのもうなずけます。沖縄の夏は、太陽の日差しは強烈ですが、海風が吹き込み35℃を超える猛暑日になること滅多にありません。
一方、冬は、平均気温が15℃を下回ることはありませんが、北からの風が強く、体感温度は意外と低く感じるものです。
元来、海が趣味であり、人混みや都会、寒い冬が苦手なのにも関わらず、仕事のために東京「錦糸町」という街で暮らしてきた私たちにとって、人口が適度に分散し、年間を通じ暖かい沖縄は理想的な土地でした。
計画当初は恩納村や名護などの中部~北部エリアで土地を探していましたが、リゾート開発が進み、本来の沖縄の姿ではなく“つくられた街”のように感じることがありました。
そんな中、糸満市名城の土地に縁をいただきました。沖縄南部の多くは戦跡公園に指定されており、この土地は、昔ながらの風景を残しながら、那覇空港も近く、現役で仕事をこなすシマナイチャー(内地からの移住者)にとって、これ以上ない決定的なものとなりました。
土地を選定したので、いよいよ建物の計画です。
沖縄の夏の風は、主に南から吹きます。建物を建築する場合、夏の南風を取り入れ、冬の暖かい日差しを確保することが望ましいと言われます。
名城の集落をGoogle Earthで見ると、建物は例外なく南を向いて配列されています。この土地の人々は昔からこれを理解して生活しているんですね。
「郷に入れば郷に従え」。
これで敷地に対する建物の配置も決まります。