徳島市東船場ボードウォーク

On 01. 12. 2021 by sai1525

コロナあけの出張診断

コロナウイルス感染が少しだけ落ち着き、GOTOトラベルが行われていた昨年の12月。徳島市の中心部を流れる新町川に設置されている「ひょうたん島クルーズ乗り場」の浮桟橋に、シェルターを増設する工事で現地を訪れました。この桟橋とシェルターは10年前に弊社で設計施工したものですが、施主であり管理者であるNPO法人新町川を守る会さんから増設の依頼をいただいたのは、非常にうれしい出来事でした。同法人は地域のために、桟橋を多角的に利用されており、弊社のボランティア事業の見本にさせていただいている法人です。

そんな縁のある徳島市から新たなご依頼をいただいたのが、昨年の12月の中旬で、新町川沿いの「東船場ボードウォーク」(1996年2月竣工)の劣化診断を行ってほしいとのことでした。私としても桟橋の周辺を歩く際に、気になっていた施設なので、 電話、メールで 打合せを行いながら、「ぜひ、お手伝いさせていただきたい」旨、返答をさせて頂きました。

ところが、皆さんのご記憶通り、2021年の年明けから一気にコロナウイルスの感染が全国に拡大し、調査をしたくても、飛行機という移動手段さえ奪われ、市役所都市建設部公園緑地課さんとは、空路の運航が再開されてからというお話をして、フェードアウトモードに入りました。時を同じくして、弊社も本格的なリモートワークに入ったのでした。

時がたち、10月に入ると、市役所の担当者様から、緊急事態宣言が解除されたので、現地での劣化診断と改修方針の打ち合わせを行いたいというメールをいただきました。計画もフェードアウトかと思っていた私にとって、「待っていてくれたんだ!」と嬉しく沸き上がった感情を覚えています。

11月8日、朝9時半に事前打ち合わせのために公園緑地課へ行くと、そこには課長補佐を筆頭に電話で声を聞いていた担当者さんたちが。思わず出た「お待たせしました」という一声が初対面のご挨拶になりました。このブリーフィング(事前打ち合わせ)で聞いた課の方針がすばらしく、これを記事にしたいと思い立った次第です。

徳島市都市建設部公園緑地課の基本方針

・SDGsの理念に基づき、持続可能な施設として改修したい

・カーボンニュートラルに貢献したい

・現在ボードウォークに使用しているデッキ材を再利用した計画としたい

これは弊社の経営理念「資源であり続けるモノづくり」を体現化したもので、通常は弊社から提案するものなのですが、今回はお客様から、時代の先端とも言える方針が示され、これまでカーボンニュートラルという課題に向き合ってきた甲斐と、時代の進化を感じることができました。

現在は劣化診断報告書を書き終え、市の意向であったデッキ材の再利用が叶う結果が出てホッとしているところです。そして、この調査を踏まえ、デッキ材を再利用することで、126tものCo2の排出を抑制できることが判りました。

調査地で使用しているデッキ材は、ブラジル産のイペ材なので、上表に示す通り、国産材の炭素貯蔵量は0となりますが、言い換えれば、ブラジルの二酸化炭素を固定化した木材を輸入し、それを日本国内で焼却処分しては、カーボンニュートラルという概念は成立しません。輸入木材こそ、使い切る責任があるのです。

これまで試算上は、上記のようなスタディーはしてきましたが、実際のプロジェクトとして、この取り組みが動くことは、SDGsの視点からも非常に分かりやすいものだと思います。saiブランドは、この徳島市の取り組みを全面的にバックアップしたいと思います。

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