自然の猛威と復旧予算のあり方
今年も大型の台風が来襲しました。
昨年は関西地方が大きな被災を受けましたが、今年は15号が関東地方を襲い、千葉県、神奈川県に多くの被害をもたらしました。
saiブランドでは、これまで水辺で耐久性の高い資材、構造物を開発してきました。
自社で手掛けた物件に関しては、被害の報告はないのですが、自治体や施設管理者から今回被災した施設の復旧計画の相談、依頼が相次いでいます。
そんな折、すごく戸惑うのが予算のあり方です。
地方自治体が被災した施設を国の補助金をもらい復旧する場合、「現状復旧」が原則になります。
「なぜ対策を講じることができないのだろう」
被災前の「現状」に復旧した場合、同じような規模の台風が来襲した場合、同じような被災をすることになります。
まして温暖化の影響もあり、近年ますます自然災害は甚大化しています。
被災から学び、プロとして対策を提案し、実施したい。
そんな簡単なことが、いや当たり前と思うことが出来ない予算とはいかがなものだろう。
もちろん自治体の管理担当の技術者は、もっと歯がゆい思いをしていることでしょう。
そんな中、弊社の提案した改修方法で、一部を改修してくれた施設があるのですが、今回、その案を採用した箇所以外で、昨年と同様の被災が確認されました。
海辺のボードウォークは開放的で、歩きやすく、そして雰囲気もある、とても気持ちのいい空間です。
そんな気持ちのいい空間も、復旧する予算が取れず、その姿を消してしまう施設も多くあります。
計画時から。それができなければ改修時に、自然災害を現実的に想定した設計、施工をしていかなければ、この気持ちのいい空間はインターロッキングブロックやコンクリート土間など、素気のない空間となってしまうことを懸念しています。
海辺の設計の専門家として、この景色をしっかりと遺すための努力を続けて行きたいと思います。
※写真と本文は何ら関係はございません。