鹿児島で螺杭の講習会を開催しました
先月、saiブランドの九州地区販売店である株式会社 アリモト工業さんで、螺杭の講習会を開催してきました。サンコーテクノさんの開発したダイレクトアース工法の施工管理者講習会で、1日の間に座学と実技を行い、参加者には修了証が与えられます。
saiブランドは2015年よりサンコーテクノさんとタッグを組み、製品、技術の開発を行ってきました。2020年4月に取得した「中空部材の連結具」という特許も、この開発の一連です。
講習会の座学は基礎の種類や、コンクリート方塊基礎と摩擦杭(螺旋杭)との比較から、建設技術審査証明協議会により認定されている「工法」としての施工、管理基準、そして試験基準まで学びます。本工法はこの「技術審査証明 」を取得していることが大きなメリットです。
基礎は、文字通り構造物の「基礎」であり、施工後は土中に埋まり見えなくなってしまうので、だからこそ、系統だった管理が要求されます。午後からの実技講習は、実際に杭を打つ際の注意点、土質の確認 工具の操作方法を解説し、参加者の皆さんに実際に体験をしていただきます。
本工法の特徴は、100Vで作動するハンディー機械で施工が可能なことです。これにより砂浜や山間地など、コンクリートミキサー車が進入できない場所に基礎を設けることができるのです。ただ、ハンディーといっても21kgの重量があり、杭を地面にねじ込む際には相応の反力が発生します。こればかりは机上では理解してもらえないため、参加者の皆さんに体感をしていただきます。ちなみに工具はDアースドライバーといい、高速回転時1,400N・m、低速回転時には3,500 N・m という大きなトルクを発生させます。
そして、本工法の最大の特徴であり利点は、現地で実製品を使い、引き抜き試験を行うことで、現地の地盤の支持力を計測できることです。前述した通り、基礎は文字通り「基礎」なので正しく施工されてなければなりません。その「正しい」を実際の数値で確認できるのは大きな安心材料だと考えています。
この小型引抜き試験機(DT-50TCL)は油圧により50KN程度の力を発生することができ、杭の引き抜き、押し込み、せん断の試験を行うことができます。摩擦杭は引き抜き力=押し込み力と評価できるので、弊社では引き抜き試験結果から、計画地の地盤支持力を導くようにしています。
本工法は螺杭Dタイプ(ディーアーススクリュー)を対象としたものですが、それ以外にも螺旋杭の普及を目的としたFタイプ、Tタイプといった工法外の製品もラインナップしています。今回の講習会では、それらの製品の施工も体験していただきました。上の動画にあるように、Dタイプと比較し、工具がかなり小型化されていることが分ると思います。これはマルチドライバーという工具で、重量はわずか9.4kgながら800N・mのトルクを発生させます。
このように杭基礎の上に乗せる構造物により、最適な製品を選択することができるのです。弊社では市中のウッドデッキや山間地の木道などはTタイプ(φ48.6)を使用することが多いのですが、これによってデッキ下のベタ基礎や、側溝、雨水枡が不要になり、全体工費が安価になったと喜ばれる事例が増えています。JFEのCMでもサンドイッチマンが「サス鉄ナブル」などと、鉄という素材のリサイクル性の高さを表現していますが、本製品も鉄+亜鉛めっきというサステナブル製品です。コンクリートを使用しないことで、自然環境の保全にも貢献できる製品(技術)だと考えています。
今回ご参加いただいたアリモト工業のみなさん。講習会、お疲れさまでした。本技術を使い、日本全国にたくさんの自然にやさしい構造物をお届けできるよう祈念しております。
製品情報など詳しくは弊社メインサイトをご覧ください。