石垣島出張
石垣島へ出張してきました。
東京時代は遠かった石垣島も、那覇空港からわずか1時間のフライトです。
昨年度も石垣新港に新たに計画されているボードウォークの提案を求められ、砂浜に設置するデッキということで、弊社の沿岸仕様をお勧めし、コンサルさんの設計に採用してもらえたのですが、なぜか発注図は異なる製品に変わっていました。 その理由は不明ですが、砂浜という特殊な環境で、一般的な建築仕様で発注されていたので、施工後が心配です。
そんなこともあり、今回も石垣港で新たなデッキの計画があるので、提案をしてほしいと依頼を受けた時、正直、「う~ん」と思いましたが、気持ちを整理して現地へ飛びました。
現地を視察すると、市街地から旅客ターミナルへ向かう導線の計画で、単なる歩行のためのウッドデッキよりも、座って飲食ができたり、休憩ができるような機能を持たせた方が利用者にとっては良い計画になるのではと感じました。
それをコンサルさんに提案すると喜んでくださり、これまでの実績などをまとめ提出することになりました。
東京に本社があった頃から、沖縄ではたくさんの仕事をさせていただきました。
それらの施設を沖縄へ本社を移転させてから見学に行くと、あることに気づきました。それは、私が設計した施設のほとんどに日陰がないことです。
沖縄で暮らし始めて、島地形なので、天気予報はあてにならず、突然、局所的に雨が降ったり、直射日光の紫外線量が半端なかったりと、「屋根」の重要さを感じました。そんな経験もあり、任意の場所に影をつくることができるストレッチテントを製品ラインナップに追加したりしました。
出張先で雨に降られたり、現場に行くと暑かったりしても、それは一時の問題ですが、実際に生活すると本土の環境と大きく違う大問題なのです。
そんなことを感じながら、あらためて現地や昨年相談のあった石垣新港の現場を歩くと、やはり「屋根」は多くありません。さらに市街地から客船ターミナルまでの距離をたくさんの人々が徒歩で移動しているのに気づきました。外国船籍の乗客は言葉の問題もあり、気軽にタクシーを呼ぶこともできないのでしょうし、そもそもタクシーの数も多くはありません。
この移動インフラが進化しない限り、人々は通り雨や強い日差しを浴びながら長い距離を移動するしかないのです。
今回の提案では、デッキの他に「屋根」を提案したいのですが、提案するのは簡単ですが、近年大型化している台風の影響を考えると、沖縄県ではそう簡単なことではありません。上の写真のヤシの木も海からの風に倒され、それでも必至に生き、再生したのが分かります。大型の台風を想定し、しっかりとしたものを造らねばなりません。ただしそれはリジット(厳重)な構造物を計画する場合ですが、今回は考え方を変えていこうと思います。
今回の計画地は商業地に隣接しているので、観光客の増加でメリットが生じる人々と協力し、観光客を雨や強い日差しから守る仕組みを提案できればと考えています。先日このニュースでご紹介したパークレットなど、可動式の施設を官民一体となって運営をしていくことができればと構想しています。
もう造っておしまいという公共事業からは脱却し、公共投資が当該地を元気にする起爆剤になるようなインセンティブとして、地元を活性化できれば嬉しいですね。県内企業として、沖縄の地域特性を十分理解した上で良い提案ができればと考えています。