究極のオフグリッド
オフグリッド事業専用サイトに僕と友人Fでエッセーを書いています。単語としての「オフグリッド」は一般的には電力網からの離脱を指し、東日本震災以降、ソーラーパネルによる自家発電など、様々なエネルギー自治の取り組みが広がりオフグリッドという単語が拡散し始めました。
saiブランドの本社を沖縄へ移転して以降、事業として本格的にオフグリッドへ取り組む前に、そもそもsaiブランドとしての概念を整理しようとまとめたのがこのオフグリッドサイトです。
深く考えると、電力だけでなく、上下水道、住宅の構造、住環境など、「グリッド」=「社会インフラ」と読み替え、そこから離脱することで地球環境の維持・保全に寄与することができるのではないかと気づきました。
これまでの資材メーカーとしての事業を通じ、リサイクル材を再生させるために(同等の品質を持つ)新品を製造する以上のCO2を発生させるリサイクル製品が多いことに気づきました。
この矛盾に対し、会社、個人として答えを出したいと考え、会社としては10数年前から「改修事業」に重点を置き、木橋やボードウォークの安全を確保するための改修工事を積極的に提案、実施してきました。個人としては、古いヨットをレストアを通じ、終わることのない趣味を愉しんでいます。
これらを通じ、多くのことを学ぶことができました。事業、趣味とも「改修」を通じ、先人の知恵や現代のモノづくりとの違いに関心、あるいは落胆を感じ、あらためてモノづくりの楽しさ、奥深さに感じ入るのです。
西暦2000年前は素材をとことん考慮し、「長持ちするモノづくり」が多かった気がします。現代は買い替えを前提とすることで、製品のライフサイクルは短く設定され、同時に新素材や設計(構造解析)技術の進歩とともに、思いもよらない形状や質感の商品が世に溢れています。もちろん現代においても「長持ちするモノづくり」をしている企業や職人さんも多くいますが、大勢は後者であるうように思います。
友人Fがオフグリッドのサイトに「モノには魂が宿る」というエッセイを掲載しました。96年前の祖母の嫁入り道具のひとつを修理し、新たな装いとして居間の中心的な存在として蘇ったというようなお話。
昨日、レストア中のヨットにカッティングシートで「ナイデル」という船名を入れてきました。古いものを修理し、蘇らせる。新たにモノを製造するのではなく、歴史あるものを延命させることで新たな価値をつくる。すごく価値のある愉しみだと感じています。
冒頭のオフグリッドの話題に戻りますが、今後も沖縄本社では電気、上下水などの設備としてのオフグリッド化を進めて行きますが、結局のところ電力や上下水を極力使わない暮らしにいかに愉しみを見出していくことが、究極のオフグリッドだろうと考えはじめています。
一方で、このナイデル。まだまだレストア作業が続きます。いずれは搭載されているディーゼルエンジンを撤去し、動力システムをモーターとバッテリーに変更し、太陽光、風力から発電したクリーンエネルギーで海を渡りたいと構想しています。
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