嬉しい依頼(良いモノを使い続けること)

On 17. 06. 2019 by sai1525

2012年の春に秋葉原UDXビルの1階通路にあるデッキが滑るので、どうにかしたいとNTT都市開発様より相談を受け、既設デッキ材の表面を3次元ルーターで加工をする「ピールド工法」を開発しました。 試行錯誤はありましたが、再生したデッキ材の仕上がりに施主様は非常に満足をして下さり、その後、2階部分も同様に再生し、2014年には施主様とともにグッドデザイン賞を受賞しました。 そして今回の依頼は、2012年にピールドしたデッキ材が再び滑りやすくなってきたとの相談を受け、本日、打ち合わせに行ってきました。 丸6年の歳月が流れ、当時、加工した溝が摩耗によりなくなったのです。

外観は取り合う石材、自生する樹木とのコントラストも美しく、都会の景観を創出しています。 しかし、足元をよく見ると、件の0.5mmの溝加工は、6年の歳月を経て、ほとんどなくなっています。

材種はウリンという東南アジア産の比重が1.0を超える硬質木材ですが、下の写真は6年前の「削りたて」の状態で、この溝が歩行による摩耗でなくなってしまうのです。

これを再度表面加工を施し、再々利用を検討したいという施主様からの嬉しい相談です。 この工法の開発以来、全国の皆様へ天然木材の再利用をお勧めしているのですが、この大都会の通行量の多さ、利用頻度の高さから、この物件は、まさに全国のウッドデッキや木道のメンテナンスの見本になるような取り組みだと思います。 硬質木材は、その組成の70%が炭素で形成されています。 ウリンの場合、インドネシアの二酸化炭素を吸収、成長し、伐採され、ここに存在するのですが、まだまだ用途を担うことができるものを簡単に焼却処分してしまうのではく、限界まで使い切るということが、地球資源への敬意だと思います。 本件、再びご相談をいただけたこと、大変光栄に思います。

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