敗戦から学ぶ
今秋、某民間の施設管理者様から、大規模なボードウォークの改修工事へのプロポーザルに指名をいただきました。
弊社のもっとも得意な分野は「木製構造物の改修」です。
本件は、かねてから提案を行ってきた経緯もあり、何度も現場へ足を運び、細部をチェックしていたので、その場所に最適であると自負できる提案書を作成することができました。
提案から10日経った今日、施設管理者様より連絡をいただきました。
「残念ながら・・・コストが合いませんでした」と。
提案にあたって、元請業者としての積算を求められたので、商業地、住宅地、公園が同居する大都会のど真ん中での工事ゆえ、あらゆるリスクを考慮し、積算を行いました。
海際の木製構造物の改修という、弊社にとっては、「1丁目1番地」的な業務にも関わらず、都会という不測の要素に対し、臆病になりすぎていたのかもしれません。
考えてみれば、弊社の改修工事の実績は規模はもっと大きなものはいくつもありますが、地方の港湾や漁港での実績が中心です。
提供する技術に地方も都心もまったく関係ありませんが、騒音や安全性の確保など、都心は、その地に就労し、居住する方々の数があまりにも多すぎます。それらの方々への気配り、また、それによるリスクなどを考えると、無責任な数字を作ることはできませんでした。
きっとこれが経験なのだと思います。
現場には、技術とはまた別に、様々な要素があり、それらを含め、いかに安全に品質良いものを造るかが、建設会社としての実力です。
弊社には、その経験値が少ないため、不安や憂慮がコストという形で積みあがってしまいました。
今回の敗戦は、非常に残念で心残りなのですが、良い試練になりました。
弱いから負ける。まず、この事実を認識することからはじめなければならないと思います。
「1丁目1番地」をもっと大きな座標にして行くのか、はたまた別の座標を築くのか。
深く考え、次への礎にしたいと思います。
最後に、本プロジェクトが施設管理者様の意向通り、たくさんの人々に愛されるすばらしい施設に生まれ変ることを願っております。