気仙沼内湾地区階段デッキ
東北の復興事業で、気仙沼の湾奥部にできた防潮堤をまたぐ階段デッキの施工が完了しました。
復興には地元の方々のたくさんの思いや期待が詰まっているでしょう。
震災当時、テレビで大型船が燃えながらが街中を漂流している様子を見て驚愕するとともに、北洋(ベーリング海)でお世話になった方々の安否に心が痛んだのを強く記憶しています。
あれから7年が経過した現場に足を運ぶと、たくさんの人々が明るい表情で活動されていました。平常の暮らしを取り戻しているように見えるなどと、とても軽い気持ちで言うことはできませんが、「人間とはすごいものだ。日本人はすごい」と感じ入りました。
今回は株式会社サイトさんと共同でこの階段デッキを施工させていただきました。
防潮堤の港側と外側を結ぶ導線となる階段デッキで、ベンチになったりステージになったりと多用途な施設なので、施工にかなりの時間を要しました。
これだけの海際なので、防錆、防腐対策として構造材にマリンランバーが採用されています。
この素材はガラス長繊維を硬質ウレタンで固めたものなので、物理的に錆びたり、腐ったりすることがないと言い切れる、まさに水際に最適な素材です。
この製品、積水化学工業さんが開発したものですが、実はとても歴史が長く、今から40年前となる1978年に科学技術庁長官賞を受賞しています。
主に下水処理場や浄水施設の撹拌機や鉄道の枕木として使用されてきたのですが、最近は一昔前では想像ができなかったような様々な用途に広がっています。
この古くて新しい素材が、気仙沼の方々の生活を支える縁の下の力持ちとなって、長く長く、町の発展に寄与してくれればと願います。