木材劣化診断について

On 29. 10. 2012 by sai1525

白色腐朽菌

先日、大型の木製パーゴラの構造劣化診断を行いました。
上の写真はパーゴラの梁なのですが、にアメーバのような物体が付着しています。
これは白色腐朽菌の一種であるシイサルノコシカケです。
白色腐朽菌は、木材中のリグニンを分解する能力を持ち、リグニンが分解された後に残留する、セルロース、ヘミセルロースの色である白色に変色させることから、白色腐朽菌と呼ばれます。
寒さや直射日光に強く、乾湿の繰り返しの激しいところや寒暖差の大きなところなど環境の変化が激しいところでも生育するものが多いと言われ、サクラやケヤキ、ブナなどの広葉樹を好んで腐朽させるものが多いと言われています。

これは同じ構造物の支柱部分で、ベースプレートと支柱の界面に雨水が侵入する構造となってしまっているため、ここに水分が溜まり、腐朽が進んだものと考えられます。

この構造物は「ボンゴシ」という南アフリカ産の木材で、最も比重が重く、頑丈な木材としてヨーロッパでは鉄道や道路の橋梁としても多く採用されています。
日本へも20年ほど前から輸入されており、木橋などに採用されてきました。
しかし、このスーパーハードウッドと言われたボンゴシにも盲点がありました。
それが、この白色腐朽菌です。
この菌によってボンゴシで造られた木橋が二橋も落下する事故が発生しました。

今回の劣化診断で、まず、この菌を発見し、該当箇所の打診を行い、含水率を計測しましたが、かなり腐朽が進行していました。

劣化診断書を作成し、施設管理者へ提出させて頂きましたが、この結果をどう判断されるかは管理者次第となります。
これだけの構造物ですから、建設当初には万全を期してボンゴシを採用されたことが想定されます。
当時の木材業界には、ここまでの見識がなかったのは否めませんが、全国に同様の事例が多々あると思われます。
安全を損なう前に、木製構造物の劣化診断をお勧め致します。

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