ステージデッキ震災補修工事(沈下対策)
8月11日に発生した震度6弱の地震で、焼津港に設置したステージデッキが少々被災をしました。
下の写真をご覧になると幕板(縦に貼ってある壁材)が左に傾いていることが分かると思います。
デッキ全体が中央部に向け傾き、床も3次元に傾きました。
今回は、この震災補修工事を行います。
補修をするためには、原因の把握が大切ですが、この調査はすでに8月に終わらせておりました。
この調査で、今回の原因は地震による地盤の滑動と沈下であると判明しました。
下の写真の通り、新しく打設したベタ基礎(コンクリート)が地震により沈下しています。
港湾や漁港の埋立地では、基礎構造の違いで不等沈下が発生することがあります。
ここも元請さん管理の下、しっかりとした施工が行われていましたが、地震によりこのような沈下が発生しました。
sai-BRANDは、港湾、漁港での事例が豊富にあるため、
今回も東海地震に備え、従来、独立基礎で設計されていたものを、
構造を検討し、ベタ基礎に変更提案を行い、採用をいただいていました。
もちろん沈下対策も万全に施した仕様とともに。
今回設計した沈下対策は、鞘式のベースプレートです。
柱の中にベースプレートから立ち上がった鞘が挿入されており(H=600mm)、
沈下した分、この鞘の挿入高さを調整してあげればよいのです。
補修は以下の工程で行いました。
①レベル補正を行う必要のある支柱の選出(ナンバリング)
②基準高さの設定と、補修対象の柱の水準測定(レベリング)
③補修対象の柱固定ボルトの脱着(取り外し)
④補修対象の柱のジャッキアップ
⑤ボルト下孔加工と新たなボルトの装着
上の写真の作業は②と④にあたり、あらかじめ設定した基準高さにレーザー水準器を合わせます。
このレーザー光が写真の赤い線です。
青い線(沈下した分)をこの赤い線までジャッキアップし、水平に戻す作業です。
昨日は秋雨前線の影響で、終日雨の中での作業となりましたが、
想定していたよりボルトの脱着が早く終わり、作業は順調に進みました。
しかし、さすがに季節外れで来襲する大型台風には敵いません。
作業は台風後に再開することとして、明日は別の計画の図面と積算にあてることにしましょう。