首里城右棭門 階段【完成】

On 18. 07. 2014 by sai1525

世界遺産である首里城の出口付近にある「右棭門」前に階段デッキを建設し、今週に検査を終えることができました。
今回の整備のポイントは、
①遺構石畳(築城当時の石畳)が摩耗し、滑りやすくなっているため、滑動防止を図る
②遺構を保全しながら、安全な迂回路を整備する
③右棭門前のデッキは、撮影時等は取り外したい
ということでした。

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弊社グループとして、文化財系の業務経験はあったのですが、正直、ここまで困難な設計施工は初めてでした。
発注後に工区内に新たな遺構が発見され、階段の導線や防護柵の種類など、つまり、全ての設計をやり直さなくてはならなくなりました。
そして安全面や美観のために、可能な限り現場の状況に合わせることを前提とした現場となりました。

DSCF1402上の写真は右棭門を出て、右に迂回させるための階段です。
この階段の踊り場までが、取り外し可能な設計となっています。

DSCF1414そして階段を降りると右手に見える石畳。
これが新たに発見された遺構です。
これを保護しながら、眺められるような設計となっています。
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そして、今朝、検査後の手直しとして段差の大きかった最終階段に一段ステップを追加しました。
ご覧の通り、下の石畳も遺構で、しかも路盤の高さが左右で10c以上異なります。
遺構は保護対象で、アンカーを打つことはできません。
そんな制約条件の多い現場にも関わらず、現場の職人のみなさんが本当に頑張ってくれました。
写真を見ると、何事もなく納まっているように見えますが、彼ら大工たちの誇りがたくさん詰まった現場です。

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少しだけ片鱗をお見せしますが、これは取り外し可能な、右棭門前のデッキの構造部分です。
構造材は、取り外し時の重量を考慮し、軽量なマリンランバーを採用したのですが、これを現場加工すると、ガラス繊維が飛散し、皮膚に付着するとお風呂に入るまで痒さが続きます。
もちろん飛散防止のための装置を装着し、加工をするのですが、細かい加工を行う場合、直接、丸のこをあてなければなりません。
梅雨が明け、湿度の高い環境下でのこの作業は本当に大変だったと思います。
みなさんに「当たり前のように見える」ことは、我々にとって「当たり前のように見せる」技術で、この技術の大部分を大工さんが負ってくれているわけです。

梅雨明けの酷暑の中、現場関係者の皆様、本当にご苦労様でした。
そして、ありがとうございました。

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