近畿自然歩道鴨ケ磯海岸木歩道

On 31. 01. 2014 by sai1525

近畿自然歩道は、環境庁(現環境省)の長距離自然歩道構想に基づき、8番目に整備された自然歩道で、2003年(平成15年)に全線が開通しました。
コースは日本海から瀬戸内海、太平洋を結び、近畿圏を網目状に網羅しており、福井県敦賀市松島町~兵庫県南淡町鳥取までの間を、246ヶ所の短いコースに区切られて設定されています。
今回の現場レポートは、この近畿自然歩道内にある山陰海岸ジオパークエリアに新たに設置した遊歩道です。
営業と設計は、sai山陰の門脇さんの担当。
今日、施設の検査を終えた彼から、現場の衝撃的な写真が届きました。

IMG_0873
この看板は、遊歩道の入口付近に設置されているものだそうで、風光明媚な周辺環境が紹介されています。
遊歩道にいざ足を踏み入れると、看板にある写真通りの美しい景色が広がります。

IMG_0864
しかし、緩い傾斜のスロープの遊歩道を降り、はじめの角を左に曲がると・・・・
「バッシャーン!」波を受ける木道の衝撃的な画像です。
sai本部では、計画時より構造計算をサポートさせてもらってきましたが、今日のような穏やかな日に、普通にこのくらいの波を受けるとは思いませんでした。
冬の日本海の荒れようはこんなものではありません。
しかし1月の大きな低気圧にも耐えてきたので、心配せず、期待するほかありません。

IMG_0870

この歩道は、床板にリバースウッドEW(発泡無垢材)を使用しています。
当初は揚圧を低減させるため、スリットデッキを提案させていただきましたが、コストが合わず、目地を30mmあけ揚圧を逃がす設計が採用になりました。
一方、支柱や大引、根太、根がらみ等の構造部材はすべてマリンランバーで構成されています。
というのも、この現場には重機が入ることができないため、すべて人力で資材を運ばなくてはならないので、提案時から比重が0.5という軽量なマリンランバーが評価されたそうです。
この写真を見ると、決して軽いだけではなく他の意味でも評価されたようですね。
マリンランバー以外の製品では考えられません・・・・。

IMG_0872

最後の写真は全景ですが、写真右手の手すりの終点が宙に浮いているように見えます。
よく写真を見ると、手すりのブラケットをダイレクトに岩に固定しているようです。
「ワイルドな施工だなぁ・・・」と、あまりにもの割り切りの良さに清々しささえ覚えました。

砂や岩が構造体に当たり、破損することは十分に考えられるのですが、人々を安全にいざなうアプローチ歩道として、自ら犠牲となり人の安全を確保するコイツの健気さと堂々とした風格に、エールを送りたい気持ちです。
門脇さん、すごい写真をありがとうございました。
春になったら山陰へ行きますので、ぜひコイツを生で見せて下さいね。

 

Print Friendly

Comments are closed.

  • Copyright © 2015 sai-BRAND All Rights Reserved.