現場の大切さ
10月から入社した建築士のIGです。
新人研修も兼ねて、住宅のデッキ改修工事を3件続けて担当しました。
1件目は、マンションのベランダへのデッキ敷設。
デッキ設置にあたりマンション管理会社様から、数年後に大規模改修を控えているので、デッキは下地から固定せず取り外せるようにとの条件が提示されました。
このため急遽、取り外しのユニットごとに分割できるよう、設計を変更して現場に臨みました。
ある程度予想はしていたのですが、マンションの場合、竪樋や排水口の取り合いなど、現場で変更する点も多く苦労しました。
しかも工期を伸ばすわけにはいかないので、変更はその場で即判断しなければなりません。
職人さんと相談しながら、現場にある資材と工具で最適な解を導き出すという、緊迫した場面を経験しました。
結果、クライアント様にも喜んで頂けるデッキができ、2日間で達成感を味わいました。
竪樋の納まりは職人さんの腕頼り。
シルバー色のビスを外せば、ユニットごとに取り外せるよう工夫しました。
サッシとの取り合い、デッキ面のレベル決めは現場で判断。
隙間は木口を使い、網戸の交換が可能なよう取り外しできるようにしました。
2件目の個人住宅。
最初に難しい現場を経験したので、だいぶ楽に感じました。
1件目と同様、デッキのレベル決めに迷いましたが、2階の雨がかり部分ということで窓ガラスが汚れないよう、サッシから少し下げた位置にしました。結果的に外壁のサイディングとの取り合いもうまくいきました。
また、クライアント様がデッキ下の掃除口を希望されたので、部分的に取り外せるようにし、取手を加工するなど現場で判断しました。
手すり側の切り欠きが取り外せる部分です。
3件目も個人住宅。
某有名建築家が設計した住宅ということで、なかなか面白い作りになっていて、地下のドライエリア部分にデッキを設置しました。
湿気対策のために土間コンクリートを打った上に高さ600mm程度のデッキ床をつくるので、アルミ製の束部材であるTSSというデッキシステムを採用しました。
TSSは、レベル調整が容易であることと、高床にしても揺れがなく丈夫な造りが特徴です。
慣れた職人さんの手であっという間に下地が完成。
排水口部分には点検口を設けます。根太に工夫が必要です。
3件目ということでだいぶ慣れましたが、ドライエリアの外側の壁が微妙に曲がっていて、全て同じ材長のデッキ材をどう収めるか悩みました。
(一枚ずつデッキ材の長さが違うのも変だし・・・)
建築というものは水平垂直でないということを改めて思い知らされた現場でした。
こうして3件の現場を終え、自分で描いた図面を現場で直接職人さんに指示し、形になっていくという、弊社では当たり前となっている仕事の進め方を経験しました。
しかし、分業化が進んだ昨今の建設業界では、設計から現場まで一人で担当するということが少なくなってきているのも事実です。
特に私の場合、今まで大きな建築ばかり設計してきたので、このことがとても新鮮な経験で、モノづくり本来の仕事の進め方というものを改めて考えさせられました。
今後も「モノづくり」の楽しさ、難しさを両方実感しながら、弊社の経営理念である「資源であり続けるモノづくり」を実践していきたいと思います!
sai.IG