沖縄県恩納村仲泊ボードウォーク⑤
恩納村仲泊ボードウォークの現場レポートです。
あまりにも延長が長い現場なので、とても全体を1枚の写真に収めることはできないのですが、今回は、隣接する恩納村博物館のご協力により同施設の2階の屋根部分から撮影させていただいたのが下の写真です。
これでも全体の2/3程度ですが・・・。
今回、波圧、風圧を抜くスリットデッキを設置しているのは、写真の右側に職人さんたちが固まっている箇所です。
近くに寄ると、こんな様子になっています。
2m幅の木桟道(ボードウォーク)と、護岸の隙間への安全対策として設置しているのですが、全面を通常のデッキにしてしまうと、水面から吹き上げる波や風により、デッキ構造に揚圧力が発生し、施設全体が煽られてしまいます。
台風による突風や高波を受けることを想定し、被害を最小限に抑えるための工夫です。
もちろん、歩行者への安全性の配慮というのが発注者様の最大の意向でした。
この歩行者の安全と、施設の安全を兼ね備えた構造デザインとなったわけです。
このスリット構造は、下から見ると、その機能が良く分かると思います。
このように、護岸から駆け上る「波や風によるり発生する揚圧力を抜く」 ことにより、施設の転倒、破壊を未然に防ぐものです。
沖縄県内では2年前に粟国島の海岸沿いのボードウォークが波浪により大きな被害を受けました。
弊社では、専門メーカーとして、このような被害を少しでも少なくするための構造の検討を進めてきたのですが、昨年度に県北部の本部港で初のスリット構造をご採用いただき、戦後最大の台風にも十分な効力を発揮しました。
その実績から今回の提案となったのですが、今後もこのような構造をご提案し、計画地に最適なソリューションを展開して行きたいと考えています。
今回の施工範囲内で、スリットデッキを入れるまでもない隙間もありました。
ここには転落防止ネットが採用されました。
現場におられた職長さんが、沖縄県内のほとんどの遊具を設置している方だったので、その方にお願いしすることになったのですが、ひとつひとつの網目を丁寧に編み込むその技量には感心させられました。
このように現場では、それぞれの立場で互いにプロの仕事をするのですが、メーカーである弊社は、こんな丁寧な仕事をして下さる職人さんたちに支えられています。
全てを見通した設計などできるはずはありません。
なので、コミュニケーションを取り、いかに互いの経験を活かした創意工夫をできるのかで現場の良し悪しが決まってしまいます。
コミュニケーション量と仕上がりは必ず比例しているように思えます。
現場だけでなく、発注者様や元請業者様、商社、メーカー、職人さんなど、現場に係るすべての人たちが一体になれるプロジェクトを少しでも増やして行きたいですね。
製品情報など詳しくは弊社メインサイトをご覧ください。