ムダのススメ

身内ネタだが「Takaの四方海話」が好きだ。短い文章というか、少ない文字数で想いや風景を伝えている。僕のは逆で、起承転結の長文なので自分で書いていて飽きるのだ。こういうムダや非効率は世の中にゴロゴロしていて、それがなくなったらスッとするのか、それとも殺伐とするのか。決してTakaのように文章のうまい人ばかりではないので、ムダも利用すれば新しい価値の創造につながるかもしれない。

最近はヨットのレストアや屋外の木製ソファのメンテなどで、天然木材に触れる機会が多い。木材を使うと、端材というムダがでるが、今日はこの端材を利用したので紹介してみたい。

昔からある錘と滑車を使った半自動扉だ。
ここ沖縄は虫が多いことや、新入り犬の脱走防止のために、網戸にこの機能をつけることにした。
部品は至ってシンプルで、わずか250gのハードウッドの端材とホームセンターで購入できる小さな滑車とこれらをつなぐロープだけ。

ここで重要なのが、錘の重さの調節だ。網戸を引く力の分だけの重さがあれば良い。重すぎると、強く引いた時のようなバーンに閉まる。軽すぎるともちろん閉まらない。
スムーズに閉まる適切な重量を試した結果、250gに決定。

これを無機の材料でつくっても無粋なので、単位重量の大きなハードウッドの端材から切り出した。木材なので、自由な大きさに切断し、必要な箇所に孔をあけることができる。
何より自然素材の感じがいいし、風で揺らいでも付近の柱や網戸を痛めにくい。

沖縄も夏が終わり、自然の風が心地よい季節になった。次の夏まで、エアコンとはおさらばだ。

現場では端材はムダだが、世の中にあるたくさんの端材の利用価値は無限大だ。
リサイクルの一歩手前にあるリデュース。実はエコバックがビニール袋よりも環境負荷が大きいと分析されるようになってきた昨今、ムダに見える目の前のモノに、ひとつ工夫を加えることで、新しく何かを購入しCO2を発生させなくても、あらたな生命を吹き込むことができるかも。

投稿者: YUKI

株式会社saiブランド代表取締役。 30年前、オーストラリアで木橋に出会い、自然素材の可能性に魅せられる。 木橋やボードウォークの設計や、木製構造物の診断などを手掛けている。 2020年8月に本社を東京都墨田区から沖縄県糸満市名城に移転し、「オフグリッド」に事業として、ライフスタイルとして取り組んでいる。