台風対策とオフグリッドVol.2

ネットによる台風対策(前編)

移住1年目の台風対策は、ゴルフ場にあるような市販の緑色のネット(#30mm)と農業用の黒色の防風ネット(#2mm)を重ねて張ることで、一定の効果が確認できました。しかし、ネットが強風に煽られ、建物の支柱や手すりの塗装が見事にネットの摩擦で剥離してしまいました。(Vol.1)

そこで恒常対策として、以下の方針を立てました。
①飛散物防止ネット+防風ネットの二重構造は効果があったので継続
②飛散物防止ネットのシバー(振動)を抑制し、木部の摩耗を低減する
③100%の抑制は無理があるので、支柱の外側に防舷材のような機能を設ける
④ネット張りは高所作業となるため、安全で効率的な作業が可能な取付方法とする

①飛散物防止ネット+防風ネット
国交省建告第1454号により、沖縄県で建築物を設計する上での基準風速は46m/sと定められています。これは東京都の34m/sの1.35倍となる数字です。
さらにこの建物の立地条件を考慮し、風圧力を算出すると3,697N/㎡(≒375kg/㎡)という大きな数字になります。(弊社基準)
この風圧力から逆算し、飛散物防止ネットの仕様を決定し、下図のように建物にフィットする形状で製作しました。
この飛散物防止ネットの外側に黒い防風ネットを装着します。
外側の防風ネットで風速を減衰させ、飛散物は内側のネットで防御する二重構造としました。

②飛散物防止ネットのシバー(振動)を抑制し、木部の摩耗を低減する
昨年は市販のネットで試したので、大きさや固定箇所が合わず、ネットの余分な箇所が強風に煽られました。この反省から、建物の形状、固定箇所を設計に反映させ、また、収納、運搬、作業性を考慮し、3分割としました。

SUS316クリート(W100mm×H25mm)
M4×65 ビス4本で固定

建物の形状に合わせて製作したネットをしっかり、そして簡単に固定するために、支柱の上下にこのクリートを取り付けました。このクリートにネットを引っ掛け、位置決めをした後で、綿のロープで固縛(固定)するという簡単な作業です。

機能だけでなく、マリンテイストの強いデザインになりました。ヨットをはじめとする船舶で使用されている部品は耐久性が高く、シンプルで機能的なものが多く、普段の構造物の設計にも、よくヒントにしていますが、まさか陸上の建物の台風対策として重宝するとは考えてもみませんでした。

後編へ続く・・・