vol. 18 「日本人からオフグリッド!?」

近くにカリフォルニア大学バークレイ校があり、ノーベル賞をもらうと構内駐車場がもらえる。受賞者は既に56人を数える名門。

 とある週末の朝、高齢のご婦人たちはベーグルを片手に麻雀に興ずる。サンフランシスコの対岸にあたるイーストベイには70年代の倉庫を改装しスタートアップで起業したマイクロブリューワリーやコーヒーショップが点在している。通りをワンブロック隔てるとホームレスが焚き火をするようなヤバいエリアなのに、おおよそ数十ミリオンの投資が集まるのだから不思議だ。ロボットが「手作り」したベーグルにロックスと呼ばれるスモークサーモンとクリームチーズを挟み、近くの別の店でエスプレッソを買って来てブランチにしてみた。これだけでチップを入れて$30(約4800円)するのだ。

 東京でベーグルにコーヒー1杯ならワンコインだと思うと10倍の価値が無ければならない。ひっきりなしに訪れる近隣の住人とおぼしき人たちは、軽装で見るからに着飾った人はひとりも居ない。毛並みの艶やかな犬を連れ、タブレットを片手に颯爽と店を後にする。店の滞在は5分、中にはスケボーで現れた若者も居た。テック系なら20代で10万ドル以上稼ぐのが当たり前だという。この辺りは、どちらかというとガツガツしていないスマートオトナが多く自分らしく生きているらしい

 前日はこの近くで昼間から呑んだ。入れ墨をしたスキンヘッドのバーテンダーに、これまた倉庫を改装しただけのパブだった。隣席のオッサンは携帯片手にのニヤニヤしている。良いことがあったのかと訊ねたら、お前も一口乗るかと出資を誘って来た。知人がスピンアウトしてマイクロワイナリーを興す話があるらしい。儲かるのか?の愚問に、俺はゲームは好きだが賭け事はしないと続く。なんだこの大物な感じは。

 なるほど此処はそういう人たちが棲む街なんだと気付いた。投資が投資を呼び、高い技術や新たな仕組みでビジネスを興し、互いを侵害することなく下町のような持ちつ持たれつな付き合いで、今を刹那的に生きている。そういえばこの近くのマリーナで働いていたウクライナ人も、借りたボートのオーナーはフランス人だし、牌を握るご婦人はイタリア系移民らしい。もはや国籍や人種は無縁のこんな場所に身を置くと、僕も日本人からオフグリッド出来るのかも知れない。

投稿者: Taka

これまで百数十か国を訪れ、欧米7か国で20年暮らしてきた。メーカーに30数年勤め、縁あって今はハワイ在住。グローバルな生活から一転、ロコとして生きる。 座右の銘は、Life is a journey, not a destination. (人生は旅、その過程を楽しもうじゃないか)